せっかくの三連休。なのに初日は仕事、二日目は奥さんが仕事、でも三日目はゴルフ。という事で、奥さんが仕事のナカ日に酒好きおっさんコンビで西宮の酒蔵を自転車で巡ることにした。
江戸時代より西宮は、丹波地方で採れる酒造りに適した米と六甲山からの伏流水による宮水に恵まれ、輸送に便利な港があったことから、日本有数の酒どころとして栄えてきた。港から樽廻船によって積み出されたその酒は、海路江戸まで運ばれ、その味の良さを讃え、「下り酒(上方から江戸へ下る酒)」と呼ばれた。阪神・淡路大震災では、惜しくも土蔵造りや赤煉瓦の酒蔵などの伝統的な景色が損なわれたが、現在も多くの有名メーカーが軒を連ねる日本有数の酒どころだ。
いつものごとく西へ向かうには西国街道を走る。あっという間に西宮。JR西宮駅付近で昼メシにしようか、などとウロついてみる。
西宮中央青果市場はなにやら怪しげ。雰囲気に誘われ入って行く。
市場の一角に淡路島バーガー発見!モクモクと吐き出される煙とバーガーを焼く香ばしい匂いにつられる。
文句無くうまい!
国道2号線を横断し、商店街っぽい通りへ入るがあまり店が無い。
「店ねぇなぁ」とか言うてる間に阪神電車西宮駅。駅ナカはエビスタ西宮というショッピング街があるが、やっぱ地元のウマイ店がいいんだな。
時計の時刻が違ってんなぁ、と思いきや、これは阪神電車西宮駅前のモールにある阪神淡路大震災モニュメント。もともとは西宮中央商店街のアーケードに掛けられていた時計だが、平成7年(1995年)1月17日5時46分52秒に発生した兵庫県南部地震により被災。復興再生を祈念してモニュメントととして設置された。
今在家町から馬場町へ。早くメシ食おうや! さっきバーガー食ったヤン! などと言いながらも先へ先へと走り過ぎて行く。
正月の福男選びで有名な西宮神社。七五三の時期、バンバン家族連れの車が表大門から出てくる。
南門へと回ってみる。
ちょいとお参り。参道には屋台が軒を連ね、ベビーカステラの甘いいい匂いが漂ってくる。誘惑に負けてベビーカステラを買ってしまう。
西宮神社は福の神として有名な戎様をおまつりする神社の総本社。毎年1月10日に行われる開門神事福男選びは有名な神事。午前6時に表大門が開かれ、外で待っていた参拝者は230m離れた本殿まで「走り参り」をする。一番から三番までがその年の「福男」として認定される。
西宮神社をあとにし、西国街道を西へ進むと阪神電車の香櫨園駅。この駅は夙川を跨ぐ様に建っている。
夙川の河川敷公園は紅葉真っ最中。香櫨園駅から少し南へ下りていく。
酒蔵通りに到着。観光マップを頼りに酒蔵を巡ろう。まずは北山酒造を目指すが、酒蔵通りという甘美な響きにより期待を膨れ上がらしたが、特に目立った物も無く普通の住宅街なのだ。
北山酒造に到着。昔ながらの酒蔵を期待していたが、ただの事務所的な建物。そして休業日、酒が飲めない。
青空に映える白鹿酒造。ただの巨大工場、なので酒が飲めない。
まぼろしの銘酒「灘一」。松竹梅酒造は阪神淡路大震災により酒造蔵が全壊したため、今は瓶詰めのみ行っている。なので酒が飲めない。
臨海線へと南下すると白鹿の酒蔵館がある。酒蔵館は辰馬本家酒造の明治2年築の木造酒蔵を改築し博物館としてリニューアルした。入館料300円なり。内部には酒を造る道具が並べられ、酒造りの行程が見て取れる。酒造りの行程は、0.秋洗い 1.洗米/浸漬 2.蒸し 3.放冷 4.麹つくり 5.もとつくり(酒母) 6.もろみつくり 7.圧搾 8.おり引き/火入れ/貯蔵 9.樽詰・出荷、だそうだ。
白鹿クラシックス。お酒や食品、酒器を販売するショップと「花と和食と日本酒と。」をコンセプトとしたレストラン。
チャリンコなんだがちょっとだけ試飲する。灘の生一本純米酒をチョイス。ツレは西宮郷大吟醸を嬉しそうに飲んでいる。腹にアルコールが染み渡る。ここから先は自転車を押して歩いていこう、などと自主規制的な事を話し合う。
お酒や食品、酒器がずらりと並ぶ店内。
灘の10蔵の「灘の生一本」がここで買える。菊正宗、大関、白鹿、道灌、日本盛、剣菱、櫻正宗、白鶴、沢の鶴、浜福鶴、飲み比べだぁ。という事で10種10本を自宅へ宅急便で送る。支払いはツレと半々だけれど。届いたら自宅で宴会、飲み比べだぜぃ。
白鹿記念館。入口には杉の葉でつくられた酒林がぶら下がっている。内部は日本酒の歴史と文化に関係する資料や笹部新太郎氏の所蔵していたコレクションが展示されている。
再び酒蔵通りへと北上する。こちらは白鷹酒造の白鷹禄水苑というショップと、竹葉亭という日本料理レストラン。内部には江戸末期から昭和初期にいたる蔵元の生活道具を展示してあったり。
宮水発祥之地。案内板には、「百の蔵から歌声もれる いつものどかな酒の町」戦前の西宮音頭は酒の町西宮をこんな風に歌いました。今次の大戦で酒蔵の大半が焼失、さらに技術革新が酒造りを大きく変え、鉄筋コンクリートの酒蔵の出現で酒の町の風情も変わりました。しかし、灘の名酒のいのちともいえる宮水は変わることなく宮水地帯に湧き、それぞれの井戸場から汲み出されて灘の酒蔵に送られます。この宮水は先年環境庁選定の日本名水百選に選ばれました。と、ある。
白鹿専用の宮水の井戸。
なつかしい交通公園があったり。
酒蔵通りにある日本盛の煉瓦館。
煉瓦館にも日本酒ショップと日本料理レストランがある。
日本盛は良いお酒~♪ のフレーズが頭から離れない。ここでも有料の利き酒をしてしまう。メシより酒なんだよな~、などと言っているアル中のツレ。
なんと日本盛の直営店で獺祭が売られている。獺祭を造る旭酒造の社長がかつて日本盛に勤務していたためらしい。山口県岩国市周東町獺越とうい山奥の小さな酒蔵 旭酒造が造る獺祭は、数年前までほとんど手に入らない超プレミアム日本酒だった。獺祭二割三分は雑味がまったく無くフルーティで透き通った日本酒らしからぬ味わいの酒。女子に飲ませばイチコロだろうよ。でもオッサンたちは、やっぱり日本酒は端麗辛口がええなと口をそろえて言うのだな。
このあと西宮郷から今津郷へと移動する。利き酒程度ではまだまだ酔っ払ってなどいないが。
大関静和館。大関が所有する江戸時代に建てられた古民家。
関寿庵。大関吟醸酒を使用した甘さ控えめの「酒饅頭」や、酒饅頭をつぶして北海道牛乳で作った「酒まんソフト」を立ち食いする。
今津六角堂。明治15年(1862年)に建築された今津小学校の校舎。正面の六角形のバルコニーがモダンなデザイン。現存する小学校の洋風建築としては松本の開智小学校に次いで古い。
大関の巨大工場と巨大看板。大量生産の酒造メーカーそれが大関。ワンカップ大関はカップ酒として初めて発売された製品。
巨大酒造大関の近所に建つ扇正宗という銘酒の小さな今津酒造。
阪神・淡路大震災で土蔵造りや赤煉瓦の酒蔵などの伝統的な建物が損なわれてしまい、期待した風景はまるで無かった。
今津灯台を見るために今津パワーボートセンターを通り抜けていく。
車の上に乗っかかるボート。捨てているのか、崩れているのかは知らんけど。
今津灯台は安政5年(1858年)に再建されたもので、高さ約6.7mの木造袴腰付灯籠形・銅板葺屋根で、竜山石の基壇上に建てられている。
基壇海側には「象頭山常夜燈」と刻まれている。
昔は今津の突端に建っていた灯台だが、今では周りが埋め立てられマンションを照らすかのごとく佇んでいる。
埋め立て地に取り残された浜辺が残る。浜辺の爽やかさなど微塵も感じない。
灯台と狭い浜辺と汚い海を見ながら、揚げモンをアテに缶ポン酒をあおる。ツレは巻き寿司とポン酒をチョイス。そして人生について語りだす。
さて、帰ろう。押して歩き阪急今津駅を過ぎる。
500均の丼屋。
阪急阪神国道駅。阪急?阪神?どっちやねん? あぁもう自転車押して歩くのはしんどい。という事で電車に乗り輪行して帰るのであった。