ネカフェでへんろ 土佐黒潮の旅 その1

自転車で四国八十八ヶ所お遍路の旅。八十八ヶ所を一気に周る通し打ちをするには、仕事を休むか辞めるしかない。まとまった休みも取れず、かといって家族を顧みず仕事を辞めてやるっていう勇気も無い。そんな自分には区切り打ちしか方法が無いので、土日祝日なんかを使って細切れでへんろ旅をしている。前回は、高知の第三十五番札所 清滝寺を参拝したところで日没となり、翌日も青龍寺から岩本寺まで進んで終えようと計画していたにも拘らず、その晩、高知在住の友人と飲みすぎ食べすぎ、そしてあえなく二日酔い、翌日は起き上がるのに半日を要してしまい、おへんろは現在、清竜寺止まりとなっている。

今回は、祝日と土日のナカ日に1日有給休暇を取り、4連休にしてやろうと密かに計画を練っている。前回、清竜寺まで参拝し、その晩飲みすぎ二日酔いで予定変更打ち止めとしてしまったので、土佐市から再スタートし青龍寺、高知県西部の岩本寺、金剛福寺、延光寺へと打ち進む計画。お寺の数は4ヶ寺と少ないが、なにせ修行の道場といわれる土佐の国、その移動距離は250kmを越え、途中にはいくつもの峠が待ち構えている。

自分の自転車旅の基本はいかにお金を使わないかということも大切な要素としている。お遍路旅も同じく極力安上がりの方法を選択している。交通費、宿泊費は安く上げ、浮いたお金で美味い物を食い美味い酒を飲むのだ。ちょうど今は春の青春18きっぷの季節。青春18きっぷは全国のJR線の普通・快速列車の普通車自由席が自由に乗り降りできる切符。1人で5日間の旅行や5人で日帰り旅行など、5回分の使い方は自由に選択できる。気になる値段は5回分11,850円。ということは1回分2,370円で1日乗り放題というとってもリーズナブル!な切符。しかし、財布には優しいが、長時間の鈍行列車の座席は腰とお尻には優しくない。

計画はこうだ。地元の駅を5時27分発の電車に乗ると、尼崎駅、姫路駅、岡山駅、坂出駅、琴平駅、阿波池田駅と乗り継ぎ、高知駅には16時06分に着く。もう夕方で、さすがに青龍寺の開門時間には間に合わない。300kmほどの距離なのに、なんで所要時間は10時間39分も掛かるンだ? アメリカ西海岸くらいに行けるほど時間が掛かる。車だと高速道路を行くと3時間ちょっとで着くのに、なんでそんなに掛かるンだ? そりゃ鈍行で単線だから反対から来る列車を待ち合わせ、後から来る特急列車に追い抜かれしながら進むのだろうが、それにしても掛かりすぎる。時刻表とにらめっこすると、琴平駅で76分、阿波池田駅でも61分の待ち合わせがある。出発時刻を変えたりしてみるが、ネックとなるのは土讃線の阿波池田駅から土佐山田駅の区間。デイタイムの鈍行は2~3時間に1本しか走っていないうえに、阿波池田駅での乗り継ぎダイヤがすこぶる悪い。

そこで、琴平駅と土佐山田駅の間だけを特急南風5号に乗車すると高知駅には12時56分に着き、所要時間は7時間29分と一気に縮まる。高知駅で観光してからでも青龍寺の開門時間に間に合いそうだ。その代わり、阿波池田駅と土佐山田駅の間の乗車券1,810円と特急券1,180円、合計2,990円が別途掛かってしまう。そう、特急には青春18きっぷは使えないという事。が、そこは、青春18きっぷの基本ルールなのでしょうがないが、倍以上のコストアップはこの自転車旅の基本ルールに逸脱する。まあ、そのときの状況で特急に乗るかどうか決めたらいいや。と、いつものとおりユル~い計画で事を進める。

出発の前日は有休取得のための仕事の段取りに追われ、床に就いたのは午前1時を過ぎていた。午前4時起きで準備を進めるが、睡眠不足で眠い目とこれから楽しみな気持ちが交錯しナンだか気分がすぐれない。体と心は一体となってこそパフォーマンスを発揮できるってヤツだ。この季節、夜明けまでにはまだ時間が掛かる。暗く寒い中を自転車にまたがり地元の駅へと向かう。夜中に降っていた雨は駅に向かう間だけ止んでくれていた。今日は持っている日かも! 駅に着き、自転車のタイヤを外し輪行バックに詰め込む。輪行バックを担ぎ、エレベーターで2階のコンコースに上り見えた光景は、なんとみどりの窓口にシャッターが降りている。駅員に聞くとマルスで切符を販売するのは6時30分からだそう。こまった、こまった。そうなのだ。まだ青春18きっぷを買っていないのだ。前日までに準備しとけよって話しだが、いつもどおり準備ができないタイプなのだ。

駅員さんによると大阪駅のみどりの窓口は5時30分から開いている。ひとまず大阪駅までICOCAで行こか。大阪駅の巨大ターミナルを自転車担いでウロつく。早朝でまだ人が少ないので、人の目は気にならない。

無駄な出費と時間を費やし、大阪駅のみどりの窓口で青春18きっぷを買った。しっかり下準備ができない自分の性格を罵りながらも、大阪駅を6時ちょうどに発車する快速網干行きに乗る。予定よりも早めに家を出ていたおかげで、結果、予定していた電車に乗れた事になる。う~んまだ持ってるね!と前向きに考える。

ようやく朝メシにありつけた。地元の駅前のミニストップで買ったオニギリを快速の中で食う。「紅鮭わかめ」と「枝豆と塩昆布」。もう一個買っときゃよかった。

大阪駅からの快速を姫路駅で降り、まっ黄色の新見行きの普通電車に乗り換える。12両編成で姫路に到着した快速の乗客は、4両編成の普通電車に乗り換える。青春18きっぷのシーズン中は壮絶な座席奪い合いのバトルがホームで繰り広げられる。加えて通勤通学の乗客も乗っていて、車内はラッシュアワーの様相となる。自分はと言うと、最後尾の車両に乗っていたので姫路到着の5駅ほど前から自転車を担ぎ少しづつ中央寄りの車両に移動していた。なぜならすぐに乗り替えするため。しかし姫路駅に到着しドアが開くと目の前に乗り換え電車が停まっているはずなのに、2両分ほどズレていて電車がいない。ショック! ホームを走る乗り換え客と電車のドアを目掛けてバトルするが、自転車を担いでいるのでダッシュできない。残念ながら座席は確保できず、満員の車内に自転車と共に立ち乗りする事となった。

岡山駅からは瀬戸大橋を渡る高松行きの快速マリンライナー17号に乗り換える。乗客は多いが24分の待ち合わせのため窓際の座席を確保できた。マリンライナーの先頭車は前面展望のグリーン指定席と二階建ての指定席車。青春18きっぷでは快速の指定席は指定席券を買えば乗れるが、快速のグリーン車指定席は指定席グリーン券と乗車券も必要となる。快速の指定席グリーン車には青春18きっぷは使えないという事。ちなみに、関東を走る快速の自由席グリーン車には青春18きっぷは使えるので、自由席グリーン券だけを買えばよい。

瀬戸大橋から瀬戸内海に浮かぶ島々が見えるが、あいにくの天気でイマイチ。トラス構造の瀬戸大橋はトラス上部を車が走り、トラス内部を電車と汽車が走る。車で走ると眺望は良いが、電車だと鉄骨がジャマでイマイチ。とか言っている間に四国に上陸する。

坂出駅からは2分の待ち合わせで予讃線の琴平行きの鈍行に乗る。

予讃線を走っていた電車は多度津から土讃線に入ると10時40分に終点の琴平駅に到着。ここからの乗り継ぎがとてもとても悪い。なんと1時間16分待ち。「こんぴらさん」にでも行こうか、それとも「讃岐うどん」でも食おうか、などと考えながら駅前をブラついてみるが、やっぱり早く高知に着いて自転車に乗りたい。フンパツして19分後に出発する特急南風5号に乗ろう。

特急南風5号、2000系のディーゼル特急。自由席をチョイスするがけっこう乗客が多く、立っている人もいる。デッキに自転車を置き、2両ある自由席の通路を空席を求めて歩いていくと、居眠りしているお姉さんの隣の窓際の席が1席だけ空いていた。空席、窓際、お姉さんの横というトリプルラッキー!今日はまだ持っている。

何度も言うが、青春18きっぷを持っていても、特急に乗るにはその区間の乗車券と特急券がいる。特急には青春18きっぷは使えないという事。そこは、青春18きっぷの基本ルールなのでしょうがないが、阿波池田駅と土佐山田駅の間の乗車券1,810円と特急券1,180円、合計2,990円ものコストアップはこのお遍路自転車旅の基本コンセプト「貧乏旅」に逸脱する。どこかで節約せなばならん。

飛行機のごとく車体を内側に傾けてカーブを走る2000系は振り子式のディーゼル特急。ディーゼルターボのエンジン音を轟かせ、車体を傾けてカーブを高速で駆け抜ける姿にシビれまくる。でも、乗り物酔いする乗客が多いのと、整備コストが掛かるため、今後はスピードよりも乗り心地とコストを優先し、振り子式は開発製造を取り止めていくようだ。

土讃線は四国山脈を貫く山岳鉄道。大歩危、小歩危の渓谷を縫うように進んでいく。

時間をお金で買ってみたものの、やっぱり経費は削減したい。土佐山田で特急を降り、再び鈍行で高知駅を目指す。

12時56分定刻に高知駅に到着。地元の駅から所要時間は7時間38分。青春18きっぷだけで来ると10時間39分掛かるので、別途払った運賃と特急券代2,990円で3時間縮めた事になる。1時間1,000円かぁ~牛丼屋のバイト時給やなぁ、などと意味不明なことを考える。

高知駅のバスターミナルは駅北口の東寄りにある。若干迷いつつも9分の乗り換えで「とさでん交通バス」高岡線 高岡営業所行きに乗る。

高知駅から50分ほどで土佐市役所前バス停に降り立つ。すでに家を出て9時間が経とうとしているが、列車とバスに乗っていただけなのに、ナンだかしんどいし、腰も痛く、腹も減っている。小雨が残る中、バス停近くのシャッターの降りた薬局の軒下を借りて自転車を組み立てる。

朝にオニギリを食ってから何も食っていない。という事で、まずは腹ごしらえのため、「黒潮うどん」といううどん屋に入る。土佐市では有名なうどん屋らしく、行列のできる店らしい。昼の営業は2時半まで、今は2時15分、ギリ間に合った。

お姉さんイチオシの「おろし梅ぶっかけうどん(温)」を食う。乗り物疲れの体に梅のすっぱさが染み渡る。

腹ごしらえもでき「黒潮うどん」を出ると小雨は止んでいた。やっぱ今日は持っている! という事でウキウキ青龍寺へ向けて出発する。宇佐までわずか5kmだがこの先には塚地峠という山越えの遍路道がある。その山にはどんよりとした雲がかかり行く手を塞いでいるようだ。

塚地公園から県道39号線を逸れると、遍路道が塚地峠へと続いている。自転車で進もうとすると塚地公園で休憩していたお遍路さん夫婦に、雨上がりでぬかるんでいるよと教えてもらう。峠まで800mほど、行っちゃおうか、やめとこか。どうしよう。

親切なアドバイスには素直に従おう。塚地峠の遍路道はやめて県道のトンネルを楽々くぐり抜ける。ここのトンネルは広めの歩道と柵もあるので安全に通ることができる。四国遍路は手段やルートによって大きく難易度が違ってくる。バスツアーなんかは観光気分でバスに乗り、駐車場から境内まで歩くだけなので難易度は低い。車やバイクで高速道路や国道を行けば、ある程度の時間は必要だがや難易度としてはやさしい。歩き遍路はとても大変だが、現代の整備された車道を行けば川には橋が掛かり、海岸線には舗装された道が続き、峠にはトンネルがあるので難易度はさほど高くない。しかし昔ながらの遍路道を行くと、砂利道、土道、石畳、坂道、つづら道、石段、崖道、断崖絶壁。そして次々と現れる峠は山の頂上まで急勾配を登らねばならない。これは本当に大変だ。まさに修行である。海岸線は今は整備されて通りやすいが、昔は断崖絶壁の岩間を波間のタイミングを見計らいながら命がけで通り抜けていた。昔の人は本当にいつ死んでもおかしくないような道のりを通っていた。だからといって難易度が高いから偉い訳でもないし、難易度が低いからといってダメな訳でもない。そんな懐の深さが四国遍路の魅力なんだろう。

海岸沿いを行かず宇佐の町並みを行く。宇佐をローマ字表記すると「USA」。さっきから、ダパンプの「U.S.A」の曲が頭の中をずっとリピートしている♪

さすが漁港の町。あちこちに魚屋がある。

宇佐大橋で横浪半島に渡る。横浪半島は土佐湾に沿って細長く伸びる半島。青龍寺は横浪半島の先っぽの方に建つ。昭和48年に橋が開通するまでは、浦ノ内湾の湾口約400mを船で渡っていた。弘法大師も青龍寺を創建する際に、この湾を舟で渡っていたとか。創建ののち、お供をした8人をここへ残し、その子孫が「竜の渡し」というこの渡し船を、近年まで代々守り続けてきたと伝えられている。今は橋があるのでダパンプの「U.S.A」を口ずさみながらシャカシャカと登っていく。

橋を渡る歩き女子発見! お遍路さんなのかハイキングなのかは分からない。やはり白衣は着たほうがよいのか? お遍路さんと分かればわりと親切にされるようだし、お接待なんかも期待できる。自分も見た目はただの自転車に乗っている人にしか見えないので、「お遍路さん?」と聞かれ「そうです。」というやり取りが無いとお接待というモノに出くわした事がない。でも、お接待を期待している時点で煩悩まみれなんだろうが。

宇佐大橋から海岸線を走り、「竜の浜」から民家の隙間を入ると「蟹が池」という池が広がっている。池の向こうに見えるのは、高校野球と朝青龍で有名な明徳義塾高校。元横綱 朝青龍の四股名は青龍寺が由縁なのだとか。

第三十六番札所 独鈷山 伊舎那院 青龍寺

弘法大師が唐に渡り、長安の青龍寺で密教を学び、恵果和尚から真言の秘法を授かって真言第八祖となられ、帰朝したのは大同元年(806年)であった。縁起では、大師はその恩に報いるため日本に寺院を建立しようと、東の空に向かって独鈷杵を投げ、有縁の勝地が選ばれるようにと祈願した。独鈷杵は紫雲に包まれて空高く飛び去った。帰朝後、大師がこの地で巡教の旅をしているときに、独鈷杵はいまの奥の院の山の老松にあると感得して、ときの嵯峨天皇(在位809〜23)に奏上した。大師は弘仁6年、この地に堂宇を建て、石造の不動明王像を安置し、寺名を恩師に因み青龍寺、山号は遙か異国の地から放った「独鈷」を名のっている。

青龍寺に到着。あれ?平地にあるお寺なのか? 青龍寺の石段で朝青龍が稽古してたという話しを聞いていたのに。

ああやっぱり石段はあるのだね。

一歩一歩踏みしめて石段を登る。途中には立派な三重の塔が建つ。

そして山門をくぐる。山門にはシブい仁王様が睨みを利かせている。

そしてさらに石段はつづく。稽古のしがいのある石段だこと。

本堂。

龍の鴨居。鴨居と呼んでいいのかは分からない。

太子堂は新たらしめ。

お地蔵さんが並び、桜がもうすぐ満開。

納経し、第三十六番札所 独鈷山 伊舎那院 青龍寺をゲット!

次のお寺は52km先の岩本寺。とにかく西へ向かうのだがこの先ルートは2つ。横浪半島の稜線に沿って縦断する横浪黒潮ラインと、一旦宇佐大橋へ戻り浦ノ内湾の北側の海岸線をクネクネと進む道がある。横浪黒潮ラインは写真のとおり激坂アップダウンが繰り返される自転車泣かせの道路。リアス式海岸から太平洋と浦ノ内湾が望めるらしいが、今日は天気が良くなく、さほどの絶景は期待できないだろう。

青龍寺付近から横浪黒潮ライン方向を見ると、いきなりナンという登り坂なんだ! これは一択、宇佐大橋へ戻りましょう。

ということで、浦ノ内湾沿いを進むことにした。しばらくは太平洋とお別れ。

漁船多すぎやしないか~? 人口よりも多いんじゃなかろうか。

登り坂でテンション掛けてシフトダウンしてしまった。チェーンがはずれスプロケットに食い込んでしまう。ガッチリ食い込み格闘する事15分。

浦ノ内湾沿いは、天気がよければ絶景なんだろう。湾内は波も穏やか。

浦ノ内湾の向こう側に朱色の鳥居が見える。土佐の宮島といわれている鳴無神社(おとなしじんじゃ)。こちら側の拝殿から参道が海に向かって伸びている。

途中、外人自転車集団と熱いバトルを繰り広げ、須崎に到着。晩ご飯は須崎で食おう。多ノ郷地区には巨大なショッピングモールがあり、何でも揃うし、食事もできる。が、地元の店で名物を食べたいので須崎駅を目指す。

すさき駅前食堂、閉店。

魚屋さんは元気に開店中。

ここは、須崎まちかどギャラリー。閉館。

吉村旅館は創業100年を越える歴史のある旅館。一泊二食で7,500円から。素泊まりだと4,700円。覗いてみたが今日は満室だそう。

暮らしのねっこ。もともと漁網を取り扱う商店であった上原八蔵邸が1日1組限定の素泊まり宿&レンタルルームをやっている。他にも創業120年余りを過ぎる赴きある佇まいの柳屋旅館があるが現在は休業中。

目的の須崎鍋焼きラーメン「まゆみの店」。閉店間際の店からわざわざ「まゆみさん」が出てきて、どうぞどうぞと招き入れてくれる。

昔懐かしい感じのあっさりしょう油ラーメン。シンジョウ君のバッチ付きセットとご飯単品。

ということで須崎とは一旦お別れ。自転車を須崎駅前に置いて汽車で高知市内に戻ろう。須崎駅前の駐輪場は1日150円。いつまで停めるか尋ねられ、明日の朝までと言うと2日分300円也とな。ちょっとお高め。

須崎駅から高知駅の1つ手前の入明駅まで土讃線の鈍行で行く。青春18きっぷは1日乗り放題、まだ有効なのだ。

高知まで1時間13分の鈍行旅。旅のお供は須崎駅前の酒屋で買った金麦二段仕込(500ml×2本)とおつまみソースカツ。自転車が無いのでただの青春18キッパー飲んだくれ旅人と化す。

高知駅のひとつ手前の入明駅で汽車を降りる。入明駅から歩いて5分ほどで、前にもお世話になった城下湯に到着。「お湯あります」ってのがたまんねぇ。ひとっ風呂浴びて、カツオのたたきを食うのだ。

湯上りに高知城を散歩する。板垣退助越しの高知城天守閣。

闇夜に浮かぶ天守閣。現存12天主のうちのひとつ。今日はもう入場できないのでまた今度。湯上りに石段を上るとけっこう汗だくになってしまった。

「ひろめ市場」は相変わらずの混雑っぷり。「ひろめ市場」の隣に建つ「黒潮ひろば」で晩メシを食おう。

予算の都合と腹の都合で「カツオのたたき丼」と生チュー。塩を付けてタタキを食う。なんだかんだやっぱ高知で食うカツオのタタキはウマイ。今まで食ってきたカツオのタタキとはマッタク別の食べ物と思うくらいウマイ。

風呂に入り晩メシを食い、そしてお遍路にあるまじき高知の夜をブラツキ満喫したが、残念ながらまだ宿無しである。高知在住の友人は今日は都合が悪く会えないし泊めて貰えない。まぁどうせすぐ寝るだけだし明日の朝も早いのでネットカフェでいいか。高知駅近くの蓮池町通りにネットカフェがあるのだが、明日の須崎までの汽車代は青春18きっぷを使わないので実費を払わなければならない。それを考えると、青春18きっぷが有効な今日のうちに少しでも須崎に近づいておいて旅費を圧縮しておきたい。

という事で、高知駅から5駅西にある朝倉駅まで青春18きっぷで移動する。朝倉駅の近くにネットカフェがあるのだ。

高知大学がある朝倉は学生の町だけあってネットカフェやら居酒屋やらスーパーやらコンビニなどいろいろとある。今晩の仮眠場所はファンキータイム朝倉店。

どうせ寝るだけなので、会員登録なしで使えるパソコンの無いフラットルームにした。ネットカフェは静かなようで意外と夜中でも物音がする。空調、いびき、足音、コンビニ袋のカシャカシャ音、マウスのクリック音などなど、高知大学の学生は夜更かしなのか。目をつぶると1分で寝られる特技を持つが、雑音が気に成り出すと寝付けないので耳栓をする。スポンジ状の耳栓は、ねじってつぶして耳の穴に入れると、ジンワリと膨らんで耳の穴にフィットし、周りの音が聞こえなくなる。そのかわり、自分の血流音と耳鳴り音が良く分かる。明日は始発の汽車で須崎に向かうので5時に目覚ましを掛けておこう。